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コラム : コミック・コン 2004 雑感

2004-07-26(月)

アメリカントイやフィギュアのコレクターにとって、毎年2月に開催される「New York Toy Fair」と並ぶ祭典が「サンディエゴ コミック・コン」である。

本年度も7月21日から25日まで開催され、各トイメーカーが下半期の新製品を展示出展し賑わいを見せるなか、スター・ウォーズ関連商品群は例年と違う雰囲気を醸し出していた。

それもそのはず、来年2005年にはエピソード3の公開を控えたルーカスフィルムが直々に巨大なスター・ウォーズ パビリオンを開設した上に、関連商品メーカー最大手のハズブロー社と一丸となりファンサービスに徹し、スター・ウォーズ公式サイトでは会期前の場内設営の模様から公開して連日盛り上げに拍車をかけていたからだ。

ハズブロー社は今秋発売されるスター・ウォーズ トリロジーDVD-BOXに合わせる形で旧ケナー社時代のスター・ウォーズ フィギュアをリスペクトしたオリジナル・トリロジー・コレクションを今期投入している。これらはスター・ウォーズ トリロジーをリアルタイムで体験してきたオールドファンの懐古趣味をくすぐると同時に新たな世代のファン層には、新鮮かつ今では入手しづらくなったオールド・フィギュアへの憧れを満たすものに仕上がっている。

このシリーズは概ね好意的に受けいれられ、多くの新製品が会期中に発表されたが今ひとつ盛り上がりに欠ける印象が拭えないのも事実だったように思える。黒を基調とした渋いパッケージデザインは魅力的ではあるが、既発売フィギュアのリパックであったり復刻版としての再発売品があまりにも多いのも要因のひとつであろう。

また、映画としてのスター・ウォーズも9月にはトリロジーDVD-BOXの発売を控え、エピソード3公開まで1年を切っているにも関わらず、メインストリームでの盛り上がりに欠けるのが実情だ。

マトリックスやロード・オブ・ザ・リングが短いスパンであるにも関わらず高水準でシリーズを完結していく中、次作まで3年待たされるスター・ウォーズは苦しい状況に置かれても致し方ない。通例ならば公開前年の夏にサブタイトルを発表し、秋には特報を公開するパターンであるが(前作エピソード2/クローンの攻撃では、2001年8月6日サブタイトル、11月5日予告編が公開されている)エピソード3に関しては当初、2004年11月に発表と計画されていた。

今回は予定を前倒しする形で「サンディエゴ コミック・コン」会期終盤にサブタイトルとフィギュアパッケージの発表というサプライズを持ってきた。最新作、シリーズ完結編となるエピソード3に絶対的な自信で取りかかっているルーカスフィルムも現在の市場動向に少なからず危機感を感じているのかもしれない。

予想よりも早く発表されたパッケージデザインは衝撃的ではあったが、これまでを逸脱した斬新なデザインはある程度予測範囲内であったものと言えよう。なぜならば現在市場投入されているオリジナル・トリロジー・コレクションのデザインはある意味、禁じ手であったのだ。

オールド・フィギュアをリスペクトしたデザインではあるものの、これをやってしまってはパッケージデザインにおける今後の発展性に乏しく後が無い最終手段だったように思える。その禁じ手とも思えるカードを使ってしまったのだから、次期ラインとなるエピソード3フィギュアは必然的にこれまで以上にインパクトのあるものが要求される。

そして今回発表されたパッケージは何から何まで型破りだ。これまで基本とされていたバックカードの形状は長方形からダース・ベイダーのマスクを象ったものとなり、半円錐形へ変化したブリスター、そしてこれまでカードデザインは多少の変化を遂げながらも一環していたフックの向きまでもが逆方向へ仕様変更されているのだ。

カードデザイン自体も Vader in Flamesを彷彿させるアメコミ調のもので、これは最近のUnleashedフィギュアのパッケージアートや今回のサンディエゴ コミック・コンでもメインデザインを手掛けている Draxhall(サイトではUnleashedフィギュアのパッケージアート下書きや決定稿までの過程が閲覧可能)からの傾向を強く感じさせるものだ。

今回の発表に続き、様々な形で次なる手を映画公開まで存分に楽しませてくれると思うが、エピソード3の成功を心待ちに祈りたい。

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